糖尿病について

奈良甲状腺クリニック 院長
中村 友彦
(日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医)

糖尿病とは

  • 糖尿病とは、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの作用が不足することによって、「血液中のブドウ糖(血糖)が多い状態(高血糖)が続く病気」です。
  • インスリンは、血液中のブドウ糖(血糖)を筋肉や肝臓・脂肪細胞に取り込んで、血糖値を下げる働きがあります。
  • 筋肉や肝臓・脂肪細胞に取り込まれたブドウ糖はエネルギー源となります。

糖尿病の原因

  • 糖尿病は原因によって、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などに分けられますが、最も多いのが「2型糖尿病」です。
  • 1型糖尿病は、自己免疫の異常などにより膵臓の細胞が壊されてしまい、インスリンを作ることができなくなってしまいます。
  • 2型糖尿病は、インスリンが分泌されにくかったり効きにくかったりする体質(遺伝的なもの)や、食べすぎ・運動不足によって、インスリンの作用が不足して発症します。
  • 妊娠糖尿病は、胎盤の働きでインスリンが効きにくくなって、インスリンの作用が不足してしまいます。
  • その他にも、膵臓や肝臓の病気、薬の影響で糖尿病になってしまう場合もあります。
2型糖尿病は必ずしも生活習慣が原因ではありません
  • 2型糖尿病は生活習慣病のひとつとされていますが、必ずしも生活習慣(食べすぎ、運動不足)が原因ではありません。
  • インスリンが分泌されにくかったり効きにくかったりする体質(遺伝的なもの)がある場合、生活習慣に問題がなくても2型糖尿病になってしまうこともあります。
  • 特に日本人は欧米人と比べてインスリンを分泌する能力が低いため、生活習慣に問題がなく太っていなくても2型糖尿病になることも多いです。

糖尿病の症状

  • 軽度の高血糖の場合、すぐには症状は出ません。
  • ある程度の高血糖が続くと、のどが渇いたり(口渇)、水をたくさん飲んだり(多飲)、尿の回数が増えたり(多尿)、体重が減ったり(体重減少)、疲れやすくなったり(易疲労感)します。
  • 未治療や治療不十分で高血糖が長く続くと、「慢性合併症」が起こります(次の段落で説明します)。
  • 高度のインスリン作用不足がある場合には、「急性合併症」(糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群)により意識障害が起こり、緊急治療が必要になることもあります。

糖尿病の慢性合併症

  • 慢性合併症は次のように全身の臓器で起こります。
  • 糖尿病網膜症:進行すると視力低下や失明の原因になります。
  • 糖尿病性腎症:進行すると腎不全になり透析が必要になります。
  • 糖尿病性神経障害:両足のしびれや痛みが続くようになったり、突然に神経麻痺(外眼筋麻痺や顔面神経麻痺)が起こったりします(突然の神経麻痺は血糖コントロール良好でも起こる場合があります)。
  • 動脈硬化性疾患:心筋梗塞、脳梗塞、足の動脈硬化(末梢動脈疾患)が起こります。
  • 糖尿病性足病変:足が腐って(足壊疽)、足の切断が必要になる場合があります。
  • その他、骨折しやすくなったり、手の病気、歯周病、認知症、癌になりやすくなったりします。

糖尿病の検査

  • 血液検査で血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を確認します。
  • HbA1cは過去1~2か月間の平均血糖値を反映し、糖尿病の診断や血糖コントロール状態の指標になります。
  • その他、コレステロールや中性脂肪、腎機能なども確認します。
  • 尿検査で尿糖や尿蛋白の有無を確認します(糖尿病性腎症が進行すると尿蛋白が出やすくなります)。
  • その他、血圧測定や、眼科への定期受診(糖尿病網膜症の評価のため)も必要です。

奈良甲状腺クリニックでは
  • 血糖・HbA1cの検査結果を当日お伝えし、必要に応じて当日治療内容見直し行います
  • 検査の結果は、糖尿病専門医・総合内科専門医の院長が適切に判断いたします。
  • 必要に応じて、眼科や腎臓内科など他の医療機関と連携して検査を行います。

糖尿病の治療

  • 糖尿病の原因に応じて治療を行います。
  • 1型糖尿病は、通常はインスリン注射による治療を行います。
  • 2型糖尿病は、生活習慣の改善から始まり、必要に応じて飲み薬やインスリン注射による治療を行います。
  • 妊娠糖尿病は、食事療法から開始し、必要に応じてインスリン注射による治療を行います。
  • 飲み薬やGLP-1受容体作動薬は、妊娠中の安全性が確認されていないため、妊娠中には使用できません。

奈良甲状腺クリニックでは
  • 病状や患者さんの希望に合わせて、一人ひとりに最適な治療を行います。
  • 必要に応じて、他の医療機関と連携して治療を行います。

糖尿病治療の目標

  • 糖尿病の合併症を防いで、日常生活の質(QOL)を保ちつつ、健康な人と変わらない寿命を得ることです。

【診療科目】甲状腺内科、糖尿病内科、内科

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