無痛性甲状腺炎について

奈良甲状腺クリニック 院長
中村 友彦
(日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医)

無痛性甲状腺炎とは

  • 無痛性甲状腺炎は、甲状腺の細胞が壊れることにより、一時的に甲状腺ホルモンが多くなる病気です。
  • その後、甲状腺ホルモンが少なくなることも多いですが、さらにその後、自然に回復して正常になることもあります。
  • 甲状腺の細胞が壊れますが、病名の通り痛みはありません
  • 甲状腺ホルモンが多くなる代表的な病気の「バセドウ病」との鑑別に注意する必要があります。

無痛性甲状腺炎の原因

  • 橋本病(慢性甲状腺炎)や寛解中のバセドウ病の経過中に発症することが多く、自己免疫が関与していると考えられています。
  • 出産後数か月で発症することも多く、その場合は「出産後甲状腺炎」とも呼ばれます。

無痛性甲状腺炎の症状

  • 甲状腺ホルモンが多くなることにより、動悸や息切れ、暑がり、汗をかきやすい、手の震え、体重が落ちる、食欲が増す、軟便・下痢、疲れやすい、イライラする、落ち着きがない、月経不順、などの症状があります。
  • バセドウ病と比べて、症状が軽く、数か月で改善することが多いです。
  • 甲状腺ホルモンが少なくなると、疲れやすい、寒がり、便秘、などの症状があります。
  • 症状がほとんど出ない場合もあり、定期検査中に偶然発見されることもあります。

無痛性甲状腺炎の検査

  • 血液検査で甲状腺ホルモンの量と甲状腺自己抗体の有無を確認します。
  • 超音波検査で甲状腺の大きさ、甲状腺内部の見え方、甲状腺の血流、腫瘍がないかを確認します。
  • 血液検査で診断できることが多いですが、診断が難しい場合には放射線検査(放射性ヨウ素またはテクネシウムの摂取率・シンチグラフィ)が必要になる場合もあります。

奈良甲状腺クリニックでは
  • 甲状腺ホルモンと甲状腺自己抗体の検査結果を当日お伝えいたします。
  • 検査の結果は、甲状腺専門医・超音波専門医の院長が適切に判断いたします。
  • 放射線検査が必要な場合には適切な医療機関をご紹介いたします。

無痛性甲状腺炎の治療

  • 甲状腺ホルモンが多い時期には、通常は治療の必要はありませんが、動悸の症状が強い場合には、β遮断薬という動悸を抑える薬を使います。
  • バセドウ病の治療薬である抗甲状腺薬(メルカゾール®、チウラジール®、プロパジール®)は無効であり使用しません(使用した場合、無効ですが副作用の危険があります)。
  • 甲状腺ホルモンが少ない時期には、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS®)内服による甲状腺ホルモン補充療法を行いますが、自然に回復することもあるため、軽度であれば治療を行わずに経過をみることもあります。

関連項目

【診療科目】甲状腺内科、糖尿病内科、内科

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